叙々苑といえば、誰もがその名を知る高級焼肉店チェーン。特別な日の外食や接待など、特別な場面で選ばれる定番店として、多くの人に愛されています。しかし、このブランドがどのようにして築き上げられたのか、その歴史やエピソードについて知る人は少ないかもしれません。そして、その創業期には、爆笑問題の太田光さんの父――太田三郎さん――が深く関わっていたという興味深い事実があります。
この記事では、叙々苑の歴史や焼肉文化への貢献、太田光さんの父と叙々苑創業者との関係について深掘りし、知られざるエピソードを紹介します。
焼肉文化を変えた叙々苑の挑戦
焼肉業界の先駆者として
焼肉は、もともと日本では大衆的で庶民的な食事として親しまれていました。脂が跳ね、煙が充満する店内は、家族や友人と気軽に訪れる場所でした。しかし、そのようなイメージを一新し、焼肉を高級な食事として位置づけたのが叙々苑です。
叙々苑が初めて六本木に1号店をオープンしたのは、1976年のこと。当時、焼肉店といえば大衆的で簡素な雰囲気が主流でしたが、叙々苑はこれを覆し、スタイリッシュで高級感のある空間を提供しました。さらに、質の高い肉や独自のタレを使い、焼肉を”上品な食事“へと昇華させたのです。
無煙ロースターの導入
叙々苑が革命的だったもう一つの理由が、焼肉店で初めて「無煙ロースター」を導入したことです。焼肉店特有の煙を排除することで、客は臭いや煙を気にせず、快適な空間で食事を楽しめるようになりました。この画期的な技術は、シンポ株式会社という企業によって開発されたもので、その後、焼肉業界全体に広まりました。
また、無煙ロースターの導入により、焼肉店のイメージも大きく変わりました。それまで「煙たい」「汚い」といったマイナスイメージが強かった焼肉店が、清潔で高級感のある空間へと進化したのです。これは、現在の焼肉業界のスタンダードとなっている点でも重要な出来事でした。
タン塩とレモンダレの元祖
焼肉の定番メニューとして知られる「タン塩」。これを初めてメニューに取り入れたのも叙々苑だと言われています。さらに、タン塩をレモンダレで食べるスタイルも叙々苑が考案したものであり、この組み合わせは現在の焼肉店では欠かせない存在となっています。
このように、叙々苑は単に高級な焼肉店というだけでなく、焼肉文化そのものを革新した存在なのです。
叙々苑の内装とロゴを手掛けた太田光さんの父
爆笑問題・太田光さんの父――太田三郎さん
叙々苑の創業期において、1号店の内装やロゴデザインを手掛けたのが、爆笑問題の太田光さんの父である太田三郎さんです。太田三郎さんは、当時からデザインや書道の技術に優れており、その才能を活かして叙々苑のブランドイメージを形作りました。
特にロゴデザインについては、叙々苑の名前とともに一目で焼肉店であることを感じさせるもので、現在でも多くの人に親しまれています。太田三郎さんのセンスと技術が、叙々苑の初期の成功を支えた重要な要素の一つであると言えるでしょう。
太田三郎さんと叙々苑創業者との関係
良好な関係から絶縁へ
太田光さんによると、父・太田三郎さんと叙々苑の創業者である新井泰道さんは、1号店の開店時には良好な関係を築いていました。しかし、叙々苑が事業を拡大し、店舗数を増やす過程で、両者の間に意見の食い違いが生じたと言われています。
特に、価格設定や事業方針をめぐる対立が原因となり、最終的には絶縁状態になってしまったそうです。太田三郎さんはその後も叙々苑の話題を避けるようになり、家族にも多くを語らなかったといいます。
病床での再会
しかし、太田三郎さんが病気で入院していた際、絶縁状態だった叙々苑の新井社長が病室を訪れました。その時のエピソードは、太田光さん自身が語っています。
太田三郎さんは意識が混濁していたものの、新井社長の顔を見ると突然正気を取り戻したかのような反応を示しました。そして、新井社長が「覚えてる？叙々苑の社長だよ」と声をかけると、太田三郎さんは茶目っ気たっぷりに「知らねぇ」と返答したと言います。この場面には、看護師や家族も笑顔になったそうです。
この再会を通じて、両者のわだかまりが解けたことが伺えます。
「叙々苑」の名前の由来
叙々苑という名前の由来も興味深いものです。外国人が肉を焼く音を「ジョージョー」と表現することから名付けられたと言われています。このシンプルで親しみやすい響きが、叙々苑の成功の一因となりました。
名前の由来には、焼肉を通じて多くの人々に親しまれたいという思いが込められているように感じられます。
焼肉と歴史に想いを馳せて
叙々苑の歴史を振り返ると、その成功の裏には多くの挑戦と工夫、そして人々の努力があったことがわかります。また、爆笑問題・太田光さんの父とのつながりも、叙々苑の歴史を彩る重要なエピソードの一つです。
焼肉を「煙たい」「庶民的」という枠から解放し、高級感あふれる特別な食事へと変えた叙々苑。その背景には、革新的なアイデアや技術だけでなく、人と人とのつながりがありました。
次回、叙々苑を訪れる際には、その歴史やエピソードに思いを馳せながら、焼肉を味わってみてはいかがでしょうか？叙々苑が切り拓いた焼肉文化の革命を体感しつつ、特別な時間を楽しむことができるでしょう。
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